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  ■がけっぷちの歯科医療

  小泉首相の時代に始まった『構造改革』。医療の分野にも、影響が大きいようですね。

  「厚生労働省の基本は、とにかく『医療費抑制』です。健康保険にかかる費用を、とにかく抑えたいというのがホンネですね。さらに本当のことを言いますと、医療保険から、歯科の分野を外したがっています」

  格差の低い人は、虫歯になるな、と!?

  「役所の人たちは、入れ歯というのはメガネと同じようなものだと考えている。メガネは、目が悪い人にとっては必需品ですが、医療保険はききませんよね。歯も同じだ、というのがあちらの理屈なんです。ご存じのように、歯科医療は本当に日進月歩の分野で、日々、新しい技術や治療法が開発されているんです。しかし、保険診療では、なかなかそうした技術を利用することができません」

  なぜでしょう?

  「厚生労働省が保険適用を認めないから。保険の範囲内で治療しようとすると、患者さんは、歯の余分な部分を削らなくてはならないし、あまり体にいいとは思えない金属で穴を埋めなければならない。はっきり言って、大昔のやり方なんです。今どきの医者なら、みな最新の技術を身につけようと努力していますし、材料に関する情報も集めています。だけど、新しい技術や材料には保険がきかないので、次善の策として、昔ながらの技術や材料でやっていかなければならない。これは、非常に心苦しいんです」

  妙な話ですよね。

  「だから、私共が自由診療をお勧めするというのは、そこのところだけなんですね」

 
■さらに重くなる歯科衛生士の役割

  とはいうものの、自由診療はやはり、僕らにとって大きな負担です。そうなるとできることは、やはり一生懸命に歯を磨くことぐらい、ですね。

  「要するに、国は『自分の体は自分で守れ』と言ってるわけです。もちろん、基本的にはこの考え方は正しい。虫歯にならないのがベストですからね。そうなると、医療との付き合い方も変わってくる。医療機関は、基本的に治療を受ける場所というよりも、健康に関するアドバイスを受ける場所、という位置づけになってきます」

  虫歯にならなければ、僕らも高いお金を払わなくて済むし、国としても医療費を抑制することができる。

  「おっしゃる通りです。そして、歯科医の立場で考えてみると、これからは一番身近なアドバイザリー・スタッフとして、さらに歯科衛生士さんの役割が重要になっていくだろう、と。そんな考えもあって、花畑の診療所には、歯科衛生士養成の専門学校を併設しています」

  噛むこと、食べることについての基本的な相談に、気軽に乗ってくれるのが『歯科衛生士』という職業なんですね。

  「口の中をきれいに保つには、3つのやり方を併用する必要があります。まず『ブラシング』、そして『フロシング』。この2つは自分でもできますが、最後に『イリゲーション』…『洗浄』と日本語では言いますが、これは専門家、つまり歯科衛生士の手を煩わせねばなりません。多少の費用はかかりますが、虫歯や歯周病を予防できることを考えれば、かえって安上がりですから。保険診療に期待のもてないこれからの時代、歯科衛生士のニーズはますます大きくなっていくでしょう」

  専門学校の人気も高いそうですね。

  「はい。推薦でだいたい、定員に達してしまいます。それでも、まだまだ歯科衛生士さんの絶対数が足りない。太陽の卒業生ですら、なかなか私共の診療所に就職してくれません(笑)。」

  さて、そんなポリシーで経営されている太陽歯科・各診療所の歯科衛生士。皆さん非常にスキルが高いのではないでしょうか。

  「そうですね。予防第一という考えは徹底してあります。生活習慣病から悪性の疾患まで、すべての病気は、健全な摂食器官が保たれてさえいれば予防できるという研究発表もあるんですよ。そんな健康維持の最前線に立つ職業だ、という自覚は、歯科衛生士だけでなくスタッフ一同が身につけています」

  そうなると、我々患者の側としても、もっともっと『口の中の健康』について、認識を深めていく必要がありますね。本日は、どうもありがとうございました。

  「ありがとうございました」