「保険診療と自費診療」

  ―― さて、今回のテーマなんですが‥
何にしましょうか?話したいことはいっぱいあるのですが‥
  ―― 保険診療と自費診療の話、もう少し詳しく聞いてみたいんですけど…。
実は今年の4月に保険の内容が大きく変わりました。いままでできた治療ができなくなったり、できたとしても大幅に制限がかかったり。正直、困ってますね。
  ―― へえ…例えば?
フッ素による虫歯予防は原則として多数歯う蝕の小児に限定されたり、歯周病の継続管理が事実上できなくなったり‥
  ―― ちょ、ちょっとまってください。「タスーシウショク」ってなんすか、それ。ヒンズー語ですか?
日本語でいえば「たくさん虫歯」ってことですね。
  ―― 歯周病の継続管理っていうのは…なんか「百姓は生かさず殺さず」みたいな感じですかね。
なかなかスッキリ治るもんじゃないんですよね、歯周病っていうのは。だからときどき、歯医者さんに行ってもらって、チェックしてもらうのがいいんだけど、これが事実上無理になっちゃった、保険ではね。
  ――事実上とは?
やっても良いのですが、1年間の管理中には他の治療が一切できないという条件が加わりました。1年間何も無いなんて考えられますか?
  ―― 銀歯が取れても治せないんですか?
そうです。だから、事実上できなくなったと。
  ―― おかしいですね。
おかしいですね。
  ―― なんで、ですかね?
これも「痛みを伴う構造改革」の一つですかね。介護保険なんかだって、この4月から保険料が上がるわ、適用は厳しくなるわでお年寄りが悲鳴挙げてますよ。とにかく国にも厚生労働省にもお金がないから、保険の給付を何が何でも抑えたいわけ。
  ―― やっぱり保険はダメですか?
いやいや、国民皆保険制度自体はすばらしい制度ですよ。だって、痛くなっても保険証さえ持っていれば日本全国どこでも治療を受けることができるわけですからね。こんな先進国他に無いですよ。感謝・感謝です。でもねぇ‥
  ―― 何ですか?
「全てを保険で」と言うのはどうかと思いますよ。だって明らかに代用品で治療しているわけですからね
  ―― 代用品ですか?
歯科用金属では、ゴールドもしくは白金加金(金にプラチナを加えた合金)が最も良いと言われています。だけど保険で使えるのはパラジウム。この金属には2つの問題点があって、一つは「硬すぎる」と言う点。硬すぎると噛み合わせる対合の歯にダメージを与えたり、さらに顎関節症の引き金になったりします。アゴの調子が悪くなって、口が大きく開かなくなっちゃったりする。昔、森高千里がこれにかかって大騒ぎしたよね。
  ―― よかったですよねー、あのミニスカ。
よかったねー。うちにもああいう助手がいたら、もっと流行るだろうなあ…。
  ―― いえいえ、今いらっしゃる方も、皆さん素晴らしい方ばかりで。…えーと、話を戻しましょう。1本の歯を硬い金属で作ったために、周りにも影響が出てしまうんですね。
そういうことですね。それと、もう一つは「金属アレルギー」の問題。全身にかぶれや湿疹が出てしまうことがあります。特に背中やおしり。女性だと水着が着られなくなっちゃいますね。
  ―― 男性は着られるんですか?
それはちょっと‥まあどうでもいいじゃないですか。
  ―― でもアレルギーは出る人と出ない人がいますよね。僕は大丈夫かな。
アレルギーといえば花粉症ですが、身近にいませんか「去年は大丈夫だったのに今年花粉症になっちゃった‥グズグズ‥」って言う人。
  ―― あー、いますね。
いつ出るか解らないのが、アレルギーの怖いところですね。歯科用金属も同じで「今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫」とは言い切れません。今日入れる金属で出ちゃう可能性もあるわけです。ですから、できるだけ金属を使わないで治療する、使う場合でもアレルギーになりにくい金属を使うということが必要になると思います。でもそう言う材料は健康保険がきかない。
  ―― なるほど。で、ぶっちゃけ治療費はいくら掛かるんですか?
それは、虫歯の部位や大きさ、使う材質で上下します。ですから、その都度担当の先生に相談するしかないですね。保険でもできるものも中にはありますし。
  ―― ケース・バイ・ケースってことですね。
虫歯に関してはやっぱり保険だと限界がありますでも、抜歯や炎症を抑える処置は保険でも十分だと思っています。
  ―― なるほど‥自分自身の健康のためにはお金を掛けるべきところがあると言うことですね。
虫歯になっちゃったら、考えた方がいいと思います。ただ、きちんと歯磨きをすることで、極力、虫歯になることを抑えられます。とにかく予防を徹底する。ふだんからチェックのため、歯医者さんに通う。とにかく、虫歯にさえならなければ、保険を使うべきか、使わざるべきかという決断は、しなくてもいいわけですから…。
  ―― やっぱり予防が一番ですね。このあたりで時間が来てしまいました。また来月、お話をうかがいます。ありがとうございました。